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NPOの信頼性に関する意見

2007年08月23日 17:38

12人の意見(8)服部則仁さん(みえきた市民活動センター理事/ひと・まち・未来ワーク代表 等)

<この特集について>

NPOという文字が新聞に出ない日はないくらい、NPOは私たちの生活に身近な存在となってきました。ユニークな活動をしているNPOが、地域にどんどん増えています。

平成17年の内閣府大臣官房政府広報室の「NPO(民間非営利組織)に関する世論調査」でも、NPOという言葉を「知っている(意味もわかる)」あるいは「意味は分からないが見たり聞いたりしたことがある」という人は、85.2%にものぼります。

しかし、同じ調査で、NPOを「信頼できる」と答えた人はたった6.5%。「おおむね信頼できる」の24%を加えても30.5%に留まります。

確かに、新聞やニュースをよく見ていると、NPOのすばらしい活動が紹介されている記事も多い反面、なかにはNPOによる不祥事、時には詐欺事件なども目にします。もちろん、これらはほんの一部のNPOの事例ではありますが、社会のために役立つはずのNPOが、社会を困らせる存在になっているという事実が、全体のNPOのイメージをダウンさせている結果となっています。

シーズ=市民活動を支える制度をつくる会では、NPOの信頼性を高め、情報を流通させ、そのうえで寄付や会員などの形で支援が得られるようにするにはどうしたらよいか、この2年あまりをかけて研究してきています。

その一環として、12人のNPOに詳しい方々に、NPOの信頼性を確保するために何が必要か、というテーマで寄稿をお願いしました。寄稿してくださったのは、NPO関係者、NPOに助成をする立場の方々、企業関係者などさまざまです。この12人の方々のご意見を、このコーナーでは順次ご紹介していきます。

お読みいただき、皆さんもいっしょに考えていただければ幸いです。

(この特集は(独)福祉医療機構(高齢者・障害者福祉基金)より助成を受けて発行した報告書「NPOの信頼性を確保し寄付を集まるためには何が必要か」より転載しています)


第八回 服部則仁さん (みえきた市民活動センター理事/ひと・まち・未来ワーク代表 等)

NPOの信頼性確保に重要な3つのポイント-それ、ホント?

服部則仁 みえきた市民活動センター理事/
ひと・まち・未来ワーク代表等

●NPO界隈

何十年か生きているといろいろなご縁がたくさんできてきて、NPOで活動している方たちの中にも親しい人が何人もできました。自分の住んでいる地域のまわりやら、仕事をしている地域の周辺やら、気がつけば日本全国のあちこちにそんな友人知人がたくさんできました。

気をはらずに話していると、「NPOはお金がないねぇ」「うん、ないね」というのが枕詞のようになっていました。言わずもがなのことなのですが、運営を担っている人たちの顔を見ると、その苦労を想像してしまい、つい口から出てしまいます。それでもNPOでの活動を続けてしまっている自分たちを苦笑しているという雰囲気です。

ところがそんな人たちが増えてきて、あるいは少しは陽があたるようにもなってきて、世の中すてたものじゃないとも思います。そんな人たちが活動するNPOへの募金が集まるようになれば、善し悪しは別にして、社会の中でNPOが果たす役割は大きくなり、市民セクターと行政セクターや企業セクターとのパワーバランスが少しは変わっていくのだろうとも思います。

一方で、非営利の看板を悪用した営利目的ではないか、自分を利するため根拠のないウソを流して誹謗中傷をしているのではないか、不法行為の責任を被せるためのペーパーNPO法人ではないか、一人のカリスマを支える個人崇拝的な組織ではないか、補助金・助成金を獲得するための名前だけ団体ではないか…。いろいろな市民活動団体の皮をかぶった信じられないような集団の話を聞きました。あれは官設官営のNPOとか、営利組織の利権をまもる業界団体とか、形を変えた政治家の後援会ではないか…。

あれ、まぁ、NPOの世界もにぎやかなものになってきたなぁと感じています。そういえば博打の元締めをしていたNPOとかもありました。街頭からは「寄付したお金が何にどう使われるのか分からないからやめとこうね」と子どもに言う親の声が聞こえてくるようです。

●個人的な3つの立場からの「NPOの信頼性確保に重要なポイント」

(社)日本青年会議所が設立した(財)まちづくり市民財団の理事をしています。ここでは年間15から20件、総額で600万円程度を全国各地でまちづくりを行っている人たちに助成している小さな財団です。私は政策研究の担当で助成にはかかわっていませんが、いろいろな話を見聞きして大切だと感じたのは、その団体の取り組みで「地域のどんな課題がどのように解決されるか」ということです。

また、ひと・まち・未来ワークという団体の代表をしています。1998年3月に設立しました。特定非営利活動促進法が成立したのを受けて、全国の都道府県での認証条例づくりがどう進められるか、NPO側の推進者である全国各地の中間支援のNPOセンターは市民活動を支えるためにどのようにうごいているか、といった情報をインターネットを使って全国に伝えていました。そこで大切だと感じたのは、行政や企業の持つ価値観だけで社会がうごいていくのではなく、「NPOを使って市民が社会をどううごかしていくか」ということです。

もうひとつ、特定非営利活動法人みえきた市民活動センターの理事をしています。三重県の北部、桑名・員弁という23万人ほどの圏域で、市民活動の中間支援を目的とする地域密着のNPOです。毎月、市民活動の情報紙「まちのかわら版」を3000部発行し、いろいろな方たちのご厚意で100ヶ所以上で置いてもらっています。ここで大切だと感じたのは、その団体が「民主的な手法で活動しているか」です。

この3つについてキーワードを選んでみると、「課題解決」「市民社会」「民主的」というあたりになります。これをまとめると「民主的な方法で、地域課題の解決を、市民が行う社会づくり」を、NPOを使った市民の活動に期待しているというところでしょうか。

●信頼感とコミュニケーションと

満員電車で長年通学していたので、服が触れあう距離に他人がたくさんいる状態に慣れてしまったのかもしれません。痴漢やスリの被害を受けたり、突然隣の人間から殴られたという経験もありません。人を傷つけようと思えば簡単にできる距離で、全く顔も知らない人間たちに囲まれて、いくらかの時間をそのまま同じ空間で過ごすことにあまり違和感がなかったのですが、最近はいやだなあと思います。これに拒否感を覚えるとまちで生活できないのかもしれませんけれど、なんとなく社会の安全に対する不信感が芽生えているような気もします。

顔が見えすぎる閉鎖社会では、がんじがらめでものが言えない窮屈なところもありますが、相手が直接わかっていることからくる安心感があります。顔が見えない社会で生きていくときには、相手のことがよくわからないので、とりあえず自分のことを話すようにしています。それは相手に同様の対応を求めていることでもあります。けれどもそれだけではその人の話が本当かウソかわかりません。

ビジネスの世界では法律や取引ルール、企業の社会的信用というあたりで保証されていて、それなりに安心かなと思って行動しやすいとは思っているのですが、突然、偽の構造計算書に出会ったり、背骨の入った輸入牛肉のパックを見たりで、唖然としたりもします。

歴史の浅い日本のNPOが信頼されていくためには、「自分を語る」ことと、「語った内容は正しい」という検証可能なことが必要なのでしょぅね。それと、非営利の活動に参加することで得るさまざまなこと・喜びなどを、寄付した人にもわけてもらえると寄付した人はうれしいでしょうね。

「ひとりひとりへの寄付のお返しが寄付を呼ぶ」と思います。こういう発信力とそれを支えるしくみがあるといいですけれど、検査機関が平気でウソをつく日本の社会では、やはり顔がよく見える距離までが、今のところ寄付の限界かもしれません。顔を知らないNPOでも安心感と満足感の両方を満たしてくれるといいですね。

2006.06.08


●執筆者プロフィール:

服部則仁氏

1991年から1997年まで、(社)海部津島青年会議所から(社)日本青年会議所の政策提言担当の会議・委員会に出向する。97年はNPO推進政策委員会の委員長として、特定非営利活動促進法の成立に関わり、全国のNPO関係者と出会う。98年から2000年まで、ひと・まち・未来ワークを設立し、各地都道府県での認証条例づくりの経過や全国のNPOの中間支援センターのうごきなどをホームページに紹介し、自身も三重県の委員として認証条例づくりに参画する。98年から(財)まちづくり市民財団評議員(03年より理事)として政策研究交流事業を担当し、『まちづくりと市民参加』と「巡回フォーラム」に関わる。99年より、三重県桑名市および周辺地域の市民活動のネットワーク組織づくりに関わり、00年に「平成の町割会」、03年に「まちのファンクラブ」を設立する。また04年に地域の中間支援組織 特定非営利活動法人みえきた市民活動センターを設立、理事となる。


●所属団体の紹介:

NPO法人みえきた市民活動センター
(財)まちづくり市民財団 等

特定非営利活動法人みえきた市民活動センターは、三重県北部の桑名員弁地域(人口23万人)の圏域で、地域の市民活動の情報紙「まちのかわら版」を毎月3000部発行し、100ヶ所以上に置いていただいている。まちのファンクラブは、まちのかわら版の配布に協力すると共に、メーリングリストによる情報交換と定期的な交流会を行っている。

(財)まちづくり市民財団では、1999年から『まちづくりと市民参加 I~VII』を毎年一冊発行し、NPOのうごきや全国各地の地域でのまちづくりを多数紹介してきた。ひと・まち・未来ワークは全国の中間支援NPOのネットワークを通じて『まちづくりと市民参加』の編集に協力している。

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