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その他ニュース

2010年02月24日 22:00

その他 : 事業型NPOも支援へ、制度の抜本改正を提案

 24日、政府税制調査会の市民公益税制プロジェクト・チーム(市民公益税制PT)が第4回会合を開催。有識者ヒアリングを行った。シーズ事務局長の松原明が参加。認定NPO法人制度のインパクトある抜本改正に向けて、「数値目標の設定」や「事業型NPOの認定取得」、「寄付金税額控除方式の導入」などを訴えた。

 

 市民公益税制プロジェクト・チーム(PT)は、昨年12月22日に発表された税制改正大綱に基づき、政府税制調査会内に設置されたプロジェクトチーム。市民・事業者・行政が協働して課題を解決していく「新しい公共」を確立するため、市民が担う公益活動を資金面で支える税制を検討する。具体的には、寄付税制やNPO法人・公益法人税制が議論されている。PTは4月末までを目途に、とりまとめを行う予定だ。

前回から有識者ヒアリングが開始。第3回は、日本NPO学会会長で大阪大学教授の山内直人氏が参加し、「『新しい公共』を推進する政策としての税制再設計(税から寄付へ)」として、「寄付控除対象団体の増加」や「税額控除方式への切り替え」、「年末調整化・繰越控除」などの提案があったようだ。

●市民公益税制PTの流れ
2/2:第1回 顔合わせ・進め方検討

2/10:第2回 財務省・総務省・内閣府事務方レク
・現行制度の説明(認定NPO法人・新公益法人など)
・寄付額や経済規模などの説明

2/17:第3回 有識者ヒアリング「大阪大学 山内直人教授」
・「新しい公共」を推進する政策としての税制再設計(税から寄付へ)
・日本の寄付状況分析
・「寄付控除対象団体の増加」と「税額控除方式への切り替え」、「年末調整化・繰越控除」など提案

2/24:第4回 有識者ヒアリング
「シーズ・市民活動を支える制度をつくる会 松原明」
・「新しい公共」におけるNPOへの期待と発展方向性
・NPO法人が抱える課題
・認定NPO法人制度の必要性と課題
・認定NPO法人制度の抜本改正(特に事業型NPO向け改正)を提案
・寄付税制の拡充を提案

「内閣府公益認定等委員会 雨宮孝子氏」
・諸外国の寄付税制
・特にアメリカとイギリスの公益性判断
・アメリカのパブリックチャリティ資格認定におけるパブリック・サポート・テスト(PST) など

●第4回市民公益税制PTの内容
今回の第4回には、松原と内閣府公益認定等委員会の雨宮孝子氏が参加。PTメンバーの内、座長の総務省渡辺周副大臣と内閣府大島敦副大臣、財務省古本伸一郎大臣政務官が出席した。


(当日の様子 座長:渡辺総務副大臣 2/24)


(当日の様子 大島内閣府副大臣 2/24)


(当日の様子 古本財務大臣政務官 2/24)

松原は、配布資料に基づき、「数値目標の設定」や「事業型NPOの認定取得」、「寄付金税額控除方式の導入」などを中心に訴えた。
※当日使用した配布資料は下記を参照。
https://www.npoweb.jp/pdf/NPOTaxSystemRevision2010_PT4.pdf

まず、昨年の税制改正大綱での認定NPO法人制度一部改正に対して、御礼を述べた。

次に、新しい公共の実現に向けて、以下のようにNPO法人や認定NPO法人の現状と課題を報告した。

NPO法人の現状
「NPO法人は現在、全国で約3万9000法人が活躍、保健・医療・福祉分野が6割を占め、NPO法人の約半数は事業収入が中心の事業型だ。収支500万円未満が5割で小規模法人が多い。全体では事業収入5~6割で年々増加傾向。中でも福祉系は7~8割が事業収入となっている。」

NPO法人の課題
「NPO法人は4つの不足に悩んでいる。資金不足・人材不足・信頼不足・参加不足だ。一番の問題が資金不足。NPO法人の約7割が財政問題を抱えている。資金不足の影響で、職員に十分な給与が支払えず人材不足もある。NPO法人常勤職員の平均年収は170万円だ。最近は若者がNPOで働きたいと入ってきてくれるが、家庭や子どもができると生活できず退職するケースも多い。国民からの信頼もまだ低く、世論調査でNPOを信頼できると回答したのは3割だ。会員やボランティアの減少といった参加不足に悩む団体も2割ある。」

NPO法人発展の方向性
「こういった問題を抱えるNPO法人を支援する方向性として、行政からの安易な補助金や、安く一方的な委託事業などはNPO法人の行政依存を招き、自立発展は望めない。目指すべき方向は『NPOが自立発展できる環境整備』だ。これにより、多様な財源確保と市民参加の促進が実現できる。」

認定NPO法人の現状
「認定NPO法人は2月1日現在、116法人(全体の0.3%)に過ぎない。申請件数も再認定を含めて累計で425件と非常に少ない。分野別では国際協力が約5割で最多。東京都に約5割が集中しており、24の県は一つもない『認定NPO法人空白県』となっている。制度自体はNPO法人の約8割に認知されているが、内容まで知っているのはわずか3割と複雑さがネックで理解が進んでいない。内容まで知っている団体の65%が認定取得を希望しているが、希望率は年々減少傾向にある。また、希望者の88%は要件の厳しさなどが原因で申請準備をしていない。最大の問題はパブリック・サポート・テスト(PST)の計算式となっている。」

自立発展を支援する税制の必要性
「寄付型NPOも事業型NPOも、共に『新しい公共』を担う重要な主体だ。事業型NPOは、日本全国で介護や障害者福祉、子育て支援を担い、社会に貢献している。事業型NPOは事業収入を中心にしつつ、会費・寄付・助成など多様な収入が必要だ。また、これから寄付集めをしようとしている団体への支援が必要になっている。」


(当日の様子 説明する松原 2/24)

続いて、現状や問題分析に基づいて、以下の6点について提案した。

インパクトのある改正を!
「NPO法人の6割、事業型NPOも3割が『寄付税制の拡充』を希望している。また、7回にわたる改正で制度が複雑化しているため、分かりづらく申請が進んでいない。もはやインパクトある改正でないと、実効性が見込めない状況だ。インパクトのある改正が不可欠だ。」

1.数値目標の設定を!
「実効性のある改正を行うためには、数値目標を設定しての制度設計が必要だ。認定をあきらめている全国のNPO法人へ、政府として『支援する』という明確なメッセージを伝える必要がある。また、政府としての姿勢を示すことで、国民の『寄付意識』盛り上がりも期待できるのではないか。特定非営利活動促進法(NPO法)制定の際も、事前のアンケートではNPO法人化を希望していたのは、1割程度だった。しかし、実際に法が施行され、各都道府県に担当が設けられるなど支援策が打ち出されると、法人化を希望していなかった法人も続々とNPO法人化し、地方でも多くのNPO法人が誕生して今に至る。認定NPO法人制度でも、例えば、全NPO法人の50%が認定を受けられるような、全都道府県に認定NPO法人が生まれるような制度へ改正するべきだ。」

2.事業型NPOに認定の道を!
「市民の支持により、公益性を判断するPSTの趣旨は『新しい公共』の理念と合致するので維持すべきだ。事業型NPO法人は寄付金比率が低く、現行PSTクリアが困難で認定を取得できないという問題がある。事業型NPOでも寄付は重要で、事業収入増より寄付増を目指す法人も2割存在する。事業型でも認定を取得できるように、PSTを変更する必要がある。」

3.NPOのスタートアップ支援を!
「初回申請団体にとってPST (一定の寄付金収入が必要)のハードルは高いのが現状だ。NPOの寄付集めを支援するはずが、寄付金収入が認定の前提となっており「順序が逆」だ。結果として『これから寄付を集めていこう』という団体が寄付税制を活用できなくなっている。アメリカのような『仮認定制度』の導入や初回の要件緩和・実績判定期間短縮、民間機関での相談を可能にするなど改正が必要だ。」

4.事業型NPOのメリット拡充を!
「事業型NPOは、事業収入による資金を元に、対価をとれない社会貢献事業を実施する場合もある。現状では、認定後、自主事業に積極的に取り組んでも、みなし寄付金が20%では、メリットが少ない。みなし寄付金を所得金額の20%から50%(または200万円)まで拡充する必要がある。」

5.寄付者が使いやすい寄付税制へ!
「寄付税制は一部拡充されつつも、寄付者の利便性に大きな課題がある。また、現行制度は所得控除方式で、低所得者にメリットが少ない。『国民がみんなで支え合う』という新しい公共の実現には、高額寄付者だけでなく、低所得者を含めて広く国民にメリットのある寄付税制が不可欠だ。税額控除方式を導入して所得控除との併用制で寄付者のメリットを拡充すべきだ。他にも繰り越し控除や年末調整での寄付金控除を認めるなど使いやすい寄付税制を実現する必要がある。」

6.共益活動要件などの改正も必要
「その他の改正としては、特に共益活動要件の見直しが求められる。特定著作物要件では、江戸城の再建を目指す団体が「江戸城は建築物で特定の著作物」と見なされ認定を取得できないなどの問題がある。『会員等』の再定義も要る。施設建設などに向けた積立金・基金の設置を特定非営利活動事業支出とする。環境保全の観点からも、企業の消耗品・棚卸資産などの現物寄付は全額損金算入可能にすることも重要だ。」


(当日の様子 2/24)

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