行政 : 民主、NPOの6割に税制支援を
民主党は18日、党の機関である「次の内閣」(ネクストキャビネット)で了承されたマニフェスト(政権公約)の第一次草案を発表した。草案では、NPOの6割が税制支援を受けられるよう税制を緩和することを掲げている。
このマニフェストは、民主党が次期衆院総選挙に向け、政権を獲得した場合の「第1期政権4年間の最低公約」と位置づけているもの。18日に党の機関である「次の内閣」で承認されたあと、19日には両院議員総会でも承認された。
総論部分や追加公約部分については、10月5日の自由党との合併大会までにまとめられる予定。
目玉政策とされている分権改革や景気対策、年金改革などで政策実行の目標年次や、具体的な数値目標が盛り込まれているのが特徴。
なかでも、首都高速・阪神高速以外の3年以内の高速道路無料化、川辺川ダム、吉野川河口堰などの無駄な公共事業の中止、生活・環境重視の施策として、環境税の創設や新エネルギー予算の倍増など従来の施策の大幅転換をめざす。
NPOに関連する部分としては、6割のNPOが税制支援を受けられるように、現在のNPO支援税制を大幅に緩和すること、加えて、少額寄附の促進のため、1万円以下の寄付でも所得控除を受けられるようにするという目標が掲げられている。
さらに、失業率を5%から4%に引き下げる公約実行の具体的施策として、福祉・環境部門の産業育成、NPO育成を挙げたほか、待機児童解消にむけ、保育拡充のためにNPOを支援することなどが盛り込まれた。
また、外交政策では、大使等に、学者やNGO関係者などを任用するともしている。
このほか、特殊法人向け支出の1割、4000億円の支出削減、民間企業だけでなく、政府関係法人への官僚の天下りの禁止など、公益法人改革に関連する政策も盛り込まれている。
草案の全文は以下のURLで見ることができる。
http://www.dpj.or.jp/news/200309/20030918_01manifest.html
NPOに関連する部分は以下のとおり。
「民主党政権公約/マニフェスト」(第1次集約)
III マニフェスト-民主党は約束します。
民主党政権は、菅直人総理が強い意志をもって掲げる約束、そして、「民主党政権公約」の実現を国民のみなさんに約束します。
この約束は、民主党政権第一期の期間が終了するときに、その達成度が明確に示され、国民のみなさんが公約の達成状況を評価、査定できるものです。
マニフェストは第一期政権4年間の最低公約であり、「強い日本」、「経済の再生」の突破口です。中には、与党だけで決めてはいけないものもあります。民主党政権は責任ある提案を行い、国会の議論を活性化させ、与野党の活発な議論の中から合意を導き出したいと考えています。
民主党は、有権者から負託された政権において、全議員が一致して、約束を誠実に実行します。
一 失業のない、強い経済を再生します。
1 景気を回復させ、「仕事」と「雇用」を生み出します。
1) 失業率を4%台前半以下に引き下げます。
現在5%台半ばの失業率を、任期中に4%台前半以下に引き下げることをめざし、中小企業対策や分権による地域経済対策、「緑のダム」をはじめ公共事業の転換、福祉・環境部門の産業育成、良質な住環境の整備、NPO育成などによって、新たな就業機会を拡大し、雇用を増やします。
三 「自立力」をもった、活力に輝く地域を創造します。
4 6割のNPOに税制でも支援します。
特定非営利活動法人(NPO)を、地域のサービス等の供給の担い手、雇用の受け皿として育成・支援します。
任期中に、全国1万2000余のNPOのうち、僅か15法人(2003年8月現在)しか認定されてない税制優遇の認定要件を、その6割が認定を受けられるように大幅に緩和します。また、少額寄付をしやすくするため、個人がNPO法人に行う寄付の所得税控除を1万円以下の寄付でも認めます。
四 子どもや高齢者、女性が安心して暮らせる社会をつくります。
1 子どもたちを健やかに育成します。
(2) 幼保一元化やNPO支援で保育を拡充し、学童保育も2万箇所に増やします。
約3万人といわれる保育所入所を待つ待機児童の解消をめざし、厚生労働省=保育所と文部科学省=幼稚園という縦割りによる分離を是正し、幼稚園と保育園の「幼保一元化」を推進します。また、NPOなどが行っている駅前保育・保育ママなど地域の多様な資源の積極活用を含め、平成16年度から待機児童解消に向けた具体策を実行に移します。
現在、約1万3000箇所で行われている学童保育を4年間で2万カ所に増やし、指導員も4万人から6万人へと増員します。さらに、父母の就業実態に併せた保育時間の延長などを含め、待機児解消に向けて、少なくとも初年度約300億円の予算を確保します。
五 国民の命と健康を守る つよい社会を実現します。
3 信頼できる外交、国民を守れる安全保障を築きます。
(5) 大使等の民間登用率を2割に向上させます。
「日本の顔」として柔軟かつ効果的な外交を展開するため、大使等(特命全権公使を含む)の任用を、学者、NGO関係者、首長や政治家経験者などに広げ、日本人の顔の見える活力ある外交を推進します。大使等の民間人登用を、現在の6%から当面20%を目標とし、政権獲得後の4年間で達成します。